新興国マンスリー(2018年10月)「勝ち組不在」のリスクが高まる世界経済

~「リスク・オン」の賞味期限は短い~

RSS

2018年10月03日

  • 児玉 卓
  • 経済調査部 経済調査部長 齋藤 尚登
  • 金融調査部 金融調査部長 山崎 加津子
  • 経済調査部 市川 拓也
  • 経済調査部 研究員 中田 理惠

サマリー

◆9月に入って、新興国通貨は小康状態にあり、大幅利上げを決めたトルコ・リラに加えて、資源国通貨が反発している。日米株価の上昇などが金融市場をリスク・オンに導き、新興国通貨・資産を支えているという面もあろう。

◆しかし、グローバル経済・金融市場の流れは、先進国と新興国が足並みをそろえて拡大する「プラスサム」から、先進国(米国)の景気拡大とドル金利の上昇が新興国の重石となる「ゼロサム」に移行している。リスク・オンの持続性は疑ってかかるべきだろう。さらに米国景気が息切れをきたせば、世界経済は勝ち組不在の「マイナスサム」の世界に転じていく。新興国としては、よからぬ外部環境が長期化することを前提に、為替介入などは極力控え、慎重な財政・金融政策を継続することが求められよう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。