サマリー
◆2026年3月17日・18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジは3.50-3.75%と、2会合連続で金利据え置きが決定された。市場は金利据え置きを事前に織り込んでおり、今回の決定はサプライズとはならなかった。
◆今回公表されたFOMC参加者による経済見通し(SEP)では、中東情勢の悪化を受けて、インフレ率の引き上げが目立った。ドットチャートでは、2026年内の利下げ幅の中央値は0.25%ptと変化はなかったものの、2026年内のFF金利の据え置きを予想するFOMC参加者が増加したことから、インフレ高止まりへの警戒感が強まったといえる。
◆先行きに関しては、利下げ再開のタイミングが注目点だ。利下げタイミングを巡る最大の不確定要素は中東情勢だろう。市場はWTIが上半期中は高止まりすると予想しており、当面はインフレ率の押し上げが意識されやすい。雇用環境に関しては、多くの企業で人員の削減が計画されており、4-6月の失業率が高止まりする可能性がある。つまり、FRBは物価の安定を重視するか、雇用の最大化を重視するかというデュアルマンデートの間でのジレンマに直面し、難しいかじ取りを迫られることになるだろう。
◆加えて、5月にはパウエル議長の任期満了を迎えるが、後任候補のウォーシュ氏の承認手続きは進んでいない。FRBの運営体制が移行期となる中で、金融政策には様子見バイアスが強まりやすいだろう。利下げを再開するとすれば、2026年下半期というのが現実解として想定される。
◆このほかの注目点としては、プライベート・クレジット市場を起点とした金融リスクの高まりだろう。現在は金融リスクの所在がプライベート・クレジット市場に限定されているが、銀行など金融システムへの悪影響が見られれば、FRBによる流動性供給や信用緩和が求められる可能性も考えられる。しかし、新議長人事が遅れていることや、後任候補のウォーシュ氏がFRBのバランスシートの拡大に消極的なことを踏まえれば、金融リスクの発現時には初動の遅れに注意を要する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米DTCC、トークン化株式の本番取引を開始
証券トークン化、ウォール街の基幹的なポストトレード業務へ移行
2026年10月08日
-
米雇用者数は大幅減速、過去分も下方修正
2026年9月米雇用統計:ただし、均してみれば雇用環境は底堅い
2026年10月05日
-
米長期金利を押し上げる利上げ織り込み加速は妥当か
むしろ警戒すべきは金融環境のタイト化による景気のオーバーキル
2026年10月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

