サマリー
◆トランプ氏の経済政策の方向性は、相当な幅を持ってみる必要があろうが、所得税減税、法人税減税などの実現に向けたハードルは比較的低い。これらは着実に財政赤字を増やそうが、新興国へのインパクトは、これがもたらすドル金利の上昇という悪材料を、米国経済の拡大がどの程度相殺するかで決まる。
◆財政出動が米国経済の拡大に貢献すれば、新興国もその恩恵を受けるし、米国主導の世界経済の安定・拡大が金融市場におけるリスク・オフの防波堤となる。しかし、完全雇用に近い同国における拡張財政が、単に格差拡大の助長に終わり、景気加速が実現しない場合、新興国とすれば利益を生まない金利上昇のみが残る。結局、新興国へのトランプ・インパクトは、ネットでマイナスが残る可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
なぜベトナムは「不平等協定」を結ぶのか
米国・ベトナムの「ディール」を解明する
2025年08月14日
-
米国抜きの連携拡大~CPTPPのEU拡大が意味すること
「反米色」を排除しながら自由貿易の枠組みを強化、アジアに恩恵も
2025年07月23日
-
インド経済は堅調か?2025年度Q2以降の見通し
個人消費とインフラ投資がけん引役。利下げが都市部の消費を刺激へ
2025年07月07日

