サマリー
◆ジョコ・ウィドド大統領は11月17日に補助金付き燃料価格の引き上げを断行したが、この政策は議会の承認なしで実施可能であるため、今回の一件は新政権による国会運営の安定を意味しない。むしろ、連立与党の議席数が過半数を割り込んでいる現状に鑑みると、政治の停滞によって改革が頓挫するリスクは依然燻り続けている。
◆一方で、こうした状況が変わる兆しも見られる。1つは、民主党が連立与党に接近したようにみえることである。地方の首長選挙制度を巡る同党の態度の変わり方などに鑑みると、自党の方針に合致する政策や国民からの人気が高い政策に限って、同党が連立与党と手を組む可能性は高まっている。
◆また、政権支持派と反対派で内部対立しているゴルカル党、および2015年2、3月に実施される予定の党首選において政権支持派の議員が有力候補となっている国民信託党に関しては、一部議員が連立与党に参加する可能性がある。
◆ゴルカル党と国民信託党に所属する国会議員の4分の1が連立与党に合流すれば、その議席数は過半数をわずかに上回る。さらに民主党が政策次第では連立政権に協力するケースも起こり得る状況である。もちろん、そのような場合でも連立与党間、さらにはウィドド大統領が所属する闘争民主党内での争いを受け、政治が停滞するリスクは残るが、総じてウィドド政権の政権基盤は今後強化され、これによって経済改革のペースも加速すると見込まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
李在明氏の「K-イニシアティブ」を解明する
大統領選で一歩リードしている李在明氏は、韓国経済と日韓関係をどう変えるのか
2025年06月02日
-
カシミール問題を巡る印パの内情と経済への影響
インドは米国の介入を快く思わないが、経済にとっては都合が良い
2025年05月23日
-
尹大統領の罷免決定、不動産問題が選挙のカギに
賃借人保護の不動産政策を支持する「共に民主党」の李在明氏が、大統領選挙で一歩リードか
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日