全人代も習一色、李克強氏の影響力は即排除

2023年の政府成長率目標は超過達成を前提に「5%前後」に設定

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2023年03月06日

  • 経済調査部 経済調査部長 齋藤 尚登
  • 経済調査部 研究員 中田 理惠

サマリー

◆2023年3月5日に、第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議が開幕し、10年にわたり首相を務めた李克強氏が最後の政府活動報告を行った。まず気になったのは、2023年に関する言及が極端に少なかったことである。政府活動報告は、過去の実績の回顧である前半と、その年の政府活動についての案などの後半に分かれる。温家宝前首相と李克強首相の交代時期の2013年には5割強の分量だった後半部分は、2023年には2割弱にとどまった。さらに、2023年の後半部分では、李克強首相独自のキーワードはほとんど使われていない。李克強氏の影響力は、首相退任とともに即時排除されることが示唆されていよう。

◆政府活動報告は2023年の8項目の重点活動任務を掲げたが、上位5項目には、2022年12月に開催された中央経済工作会議で示された2023年の経済政策運営上の5つの重点がそっくり再掲された。党と政府にはそれぞれの役割分担があると思うのだが、両者が完全に一体化したとの印象を受ける。全人代も習近平氏の独壇場となろう。

◆2023年の政府成長率目標は前年比5.0%前後に設定された。ただし、昨年が同3.0%成長にとどまったことを考えると、今年はその反動が期待できるはずである。2023年は2年連続の目標未達成は許されず、超過達成を前提にやや低めの政府成長率目標が設定された可能性がある。

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