サマリー
◆中国国家統計局によると、2022年の実質GDP成長率は前年比3.0%(以下、変化率は前年比)となった。中国経済が低成長にとどまったのは、12月上旬までの「ゼロコロナ」政策と、不動産不況によるところが大きい。
◆大和総研は従来、2023年の実質GDP成長率を4.5%程度と想定し、感染拡大を抑制できるか否か、「ウィズコロナ」政策を貫徹できるかどうかによって、6%超にも3%にもなり得るとしていた。下振れ要因として挙げたのが、死亡者の急増などで「ゼロコロナ」政策への揺り戻しが起きることであった。しかし、新型コロナウイルス感染症に対する管理レベルの引き下げによって、「ゼロコロナ」政策への揺り戻しの懸念は大きく低下し、景気下振れの可能性も低減した。感染爆発は昨年12月がピークとなった可能性がある。これを受けて、2023年の実質GDP成長率見通しを従来の4.5%程度から5.6%程度に引き上げる。
◆ただし、2023年のやや高めの成長予想は、2022年が低成長にとどまった反動によるところが大きくなろう。これは2020年と2021年の成長率の関係と同じである。2020年と2021年の平均が5.3%であったのに対して、2022年と2023年の平均は当社の予想では4.3%にとどまる。2023年の中国経済にさほど強気になれない背景にあるのは、①住宅市場の回復に対する慎重な想定、②主要先進国の景気減速による輸出の鈍化、などである。
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