サマリー
◆中国語の「内巻」とは過剰な内部競争により、全員が消耗することをいい、英語の「Involution」の訳語である。自動車産業で起きているのは、行き過ぎた価格競争による不毛な消耗戦であり、収益率は大きく低下している。中国の自動車産業はEVの伸長を背景に、スポットライトを浴びることが多いが、国内では「内巻」に巻き込まれ、疲弊しているというのが実情であろう。
◆今年の「6.18」ネットセールは家電や自動車の買い替え促進のための補助金政策が、売上を押し上げると期待されたが、一部地方の補助金の払底が抑制要因となったようだ。補助金を利用して家電を購入する人々にしてみると、補助金額には限りがあり、政策の恩恵を早く享受したいとのインセンティブが働く。家電などについて、2025年1月~5月までの好調が今後も持続できるか否かは、補助金政策の持続性に依る。また、補助金による需要喚起は需要の先食いの面があり、山が高ければその反動減も深くなることに注意が必要であろう。
◆米国は2025年4月9日、中国以外の国・地域に対する相互関税のうち、10%のベース関税のみを発動し、上乗せ関税は90日間の停止措置とした。中国からの輸入には一時は2月からの累計で145%の追加関税がかけられていたが、中国以外の国・地域への上乗せ関税の90日間停止措置によって、中国からの迂回輸出は温存された可能性が高い。米トランプ大統領にとって、貿易赤字は「悪」であり、この間に貿易赤字が急増し、米国に迂回輸出の拠点と見做された国・地域については、7月上旬以降、上乗せ関税がかけられたり、さらなる追加関税措置が講じられたりする懸念がある。こうした国・地域に進出している日本企業にとって、大きなリスク要因となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国:関税引き下げを受け、見通しを上方修正
25年は3.9%→4.8%、26年は4.0%→4.2%に上方修正
2025年05月23日
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
-
中国経済見通し:全人代後の中国経済の行方
「トランプ関税2.0」、不動産不況VS内需拡大
2025年03月21日
-
中国:地方経済の苦境と全人代の注目点
トランプ・リスクの中、25年は内需拡大に注力だが副作用にも要注意
2025年02月26日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:26年2Qは4.3%成長、内需が急減速
4月~6月は政府成長率目標の下限を下回る
2026年07月16日
-
中国:内需テコ入れに利下げは逆効果も
4~6月は4.3%成長に減速。預金準備率引き下げ、財政出動が有効か
2026年07月15日
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
最新のレポート・コラム
-
中間配当の導入は株価を動かすか
開示直後は好感されるも、効果のインパクトや持続力は弱い
2026年07月17日
-
経済産業省「公正な買収の在り方に関する研究会」による企業買収行動指針のポイント・Q&A(案)
指針の趣旨を明確化~「企業価値」や「望ましい買収」とは?~
2026年07月17日
-
「トランプ口座」始動、未来の株主多数輩出
口座開設、「収益獲得」ではなく「次世代投資家との接点」
2026年07月17日
-
データサイエンスを踏まえた年金数理理論の人的資本分析への発展可能性
新たな退職率算定方法による退職要因分析への応用
2026年07月17日
-
AI時代の競争力を生むのは誰か? ~シリコンバレーとシアトルが示す「人材エコシステム」の力~
2026年07月17日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

