サマリー
◆2023年1月の消費は、接触型消費と自動車販売とで明暗が分かれた。2023年1月21日~27日の春節の連休は、政府による行動制限が課されない4年ぶりの大型連休となった。中国文化・旅行部によると、期間中の国内旅行者数は前年同期比23.1%増の3.08億人と大きく改善した。完全復活にはまだ距離があるが、大きな一歩を踏み出したとの評価が可能であろう。一方で、1月の乗用車販売台数は前年同月比32.9%の急減を余儀なくされた。春節の連休の関係で営業日数が少なかったことに加えて、車両購入税率の半減措置が2022年12月末で終了した反動が大きかった。
◆2023年3月5日に、第14期全国人民代表大会(全人代)第1回全体会議が開幕する。注目される国家機構人事について、2022年10月の党人事で序列2位となった李強氏が、引退する李克強氏の後任の国務院総理(首相)に就任するとみられている。昨年10月の党人事では、習近平総書記を筆頭に24名の政治局委員が選出されたが、経済・金融に造詣の深い人物は、経済・金融担当の副首相に就任すると目される何立峰氏くらいしか見当たらなかった。今回の国務院人事では、大臣(部長)クラスで、実務に明るい人物がどれだけ登用されるかにも注目している。
◆さらに、政府活動報告における政府成長率目標の発表が注目される。大和総研は2023年の政府成長率目標は「5.0%前後」に設定される可能性が高いとみている。2022年が3.0%成長にとどまったことを考えると、控え目な目標設定といえるが、習近平3期目政権の最初の年度だからこそ、超過達成が目指されていると思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国:人口減少・少子高齢化と成長力の低下
短期的に再び人口増加の可能性もいずれ不可逆的な人口減少へ
2023年01月23日
-
習近平一強の中国はどこへ向かうのか
~20回党大会と党人事を読み解く~『大和総研調査季報』2023年新春号(Vol.49)掲載
2023年01月23日
-
中国:リベンジ消費で23年は5.6%成長へ
「ウィズコロナ」への不可逆的な転換。懸念は住宅市場と外需
2023年01月20日
-
中国が「ゼロコロナ」政策を完全放棄
景気下振れリスクは低減。日本のインバウンドにはずみも
2022年12月27日
-
2023年の中国経済見通しは上振れも
「ウィズコロナ」への転換。試練の後に消費主導で景気回復へ
2022年12月20日
-
中国:不動産問題が経済・金融リスクに
経済工作会議、2023年は成長・雇用・物価の3つの安定を重視
2022年12月19日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日