サマリー
習近平総書記の党大会報告についてワードクラウドを用いて分析した結果、その根底に2つの意識が読み取れた。1つ目は米国との対立への備えである。習近平政権3期目は、新たな発展目標である「中国式現代化」の下、科学技術や安全保障などにおける自立・強化を図っていくだろう。2つ目は党中央による統治能力の堅持・強化である。報告では「法治」という言葉が繰り返し強調されており、今後は法及び監督制度整備によって党中央による統一的な管理体制が強化されていくとみられる。
党人事では習近平一強体制が誕生し、その弊害が大いに懸念される。習氏の政策がたとえ誤りであったとしても途中での軌道修正が難しくなる。さらに、行きすぎた忖度は、政策の立案・遂行が習氏の意図を超えて、あるいは意図に反して暴走するリスクをはらむ。習氏は社会主義的な志向が強く、今後はこうした政策が強化される可能性が高い。
2023年の中国経済はウィズコロナへの転換が貫徹できれば、過去3年分のリベンジ消費を牽引役に、前年比6%超の成長も期待できる。一方で、ゼロコロナ政策への揺り戻しが起これば3%成長もあり得る。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:力不足、あるいは迷走する政策と景気減速
依然不透明なトランプ関税2.0の行方
2025年08月22日
-
中国:年後半減速も2025年は5%前後を達成へ
不動産不況、需要先食い、トランプ関税2.0の行方
2025年07月22日
-
中国:内巻(破滅的競争)と上乗せ関税の行方
追加関税大幅引き下げでも製造業PMIは50割れが続く
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日