「累進配当」を採用するメリットと課題

株式相場が下落する局面ではTOPIXをアウトパフォームする傾向

RSS

サマリー

◆1株あたりの配当金の水準を、直近の実績と同水準かそれを上回るとする「累進配当」を導入する企業が増えている。2026年1-5月期は新たに47社が導入した。

◆減配しないと約束することで、安定した業績に対する経営陣の自信や良好な財務基盤を投資家に対して訴求し、自社への信頼感が高まる可能性がある等のメリットがある。

◆このような累進配当を採用する企業では、株式相場が下落する局面での株価パフォーマンスが相対的に良好だ。2024年1月から2026年5月の間に、日経平均株価が急落した局面は3度あったが、累進配当を採用する企業の株価(中央値)はいずれもTOPIXを上回っている。また、下落が続くにつれて、TOPIXに対する超過リターンは総じて拡大している。

◆一方、累進配当の方針では、経営陣が配当水準を引き上げる判断基準が分かりづらい側面がある。また、配当方針自体が変更されるケースも少なくないため、「累進」という言葉から想起する時間軸が、経営陣と投資家で異なる場合も予想される。投資家とのコミュニケーションの質を高める上で、企業がこのような分かりづらさを解消する工夫に努めることが望まれる。増配する基準や累進配当の有効期間など、設計の明確化が今後の課題である。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート

同じカテゴリの最新レポート