増加してきた株主還元方針の見直しに一服感

2025年下半期の振り返り。開示件数は前年同期を下回る

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サマリー

◆2025年の株主還元方針に関する開示件数は364件と2009年以降で最も多かったが、下半期に限れば前年同期を下回った。2023年3月に東京証券取引所が上場企業に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請(東証要請)し、資本収益性の向上や持続的な成長のための手段として、多くの上場企業が株主還元方針を見直す傾向が続いているものの、足元には一服感の兆しがみえる。

◆2025年下半期は増配を伴う開示も少なかった。東証要請後は開示の75%で増配内容を含んでいたが、62%に低下した。

◆採用される方針では、安定配当のメッセージ性の高い株主資本配当率(DOE)と累進配当が多い。2025年下半期に採用した企業の業種では、相対的に情報・通信業、電気・ガス業、機械が多かった。

◆「開示を行うこと」自体は、株式市場に概ね好感されている。発表直後の株価がTOPIXを上回るケースは増配内容の有無にかかわらず6割を超えている。ただし、2025年下半期は、それまで顕著だった増配の有無による差(直後の株価の騰落率がTOPIXの騰落率より10%上回る比率の差)が縮小している。

◆2023年3月の東証要請から3年が経過しようとする中、今後は東証要請後に策定した中期経営計画を見直す企業が増える。これまでの「資本コストや株価を意識した経営」を企業がどのように振り返り、今後に向けてどのように変更するかといった分析力と説明力に、市場参加者の関心が高まると予想される。

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