2025年02月13日
サマリー
◆NISA(少額投資非課税制度)の口座数は堅調に増加しているが、足元の動向を踏まえると、政府目標の達成については慎重に見極めていく必要がある。NISAの買付額は巡航ペースを大幅に上回り、政府目標の前倒し達成が視野に入る。個人は、2024年にNISAで日本株を購入する一方、利益確定等の売りが膨らみ、全体として売り越しとなった。
◆近年、NISAを通じた家計マネーの海外シフトが進展している。2024年の対外証券投資は、2023年から約2.5倍の11兆5,066億円の取得超と、データを遡れる2005年以降で最大となった。NISAを通じた家計マネーは将来に向けた長期資産形成を目的とした資金であるケースが多いことなどから、今後も円安方向に作用すると想定される。
◆投資信託残高(ストック面)から見た家計マネーの海外シフトについては、円安進行という為替要因もあり、2020年後半から大きく進展し、投資信託の外貨建比率は2024年に5割超まで上昇した。また、2000年代半ば以降の海外シフトの局面と比べると、外貨建投資信託の構成は「債券」から「株式」へと大きく変化している様子が分かる。
◆家計マネーの海外シフトは、家計部門の現預金を国内の成長分野に供給して日本経済の成長と資産所得の増加をもたらす「成長と資産所得の好循環」にとって対応すべき課題となり得る。「成長と資産所得の好循環」を実現するには、日本企業の成長期待を高めていくことが本質的に重要であり、NISAの「国内投資枠」という案も考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
新NISAの「裏技?」のような制度と「国内投資枠」新設の提案
2024年02月14日
-
家計の現預金に吹く高インフレの逆風
資産形成におけるインフレリスクを再認識へ
2024年06月03日
-
新型コロナ下での家計金融資産の動向と2021年の展望
「つみたてNISA」の成功体験が家計の長期資産形成の追い風へ
2021年01月04日
同じカテゴリの最新レポート
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
他市場にも波及する?スタンダード市場改革
少数株主保護や上場の責務が問われると広範に影響する可能性も
2025年12月03日
-
CGコードでの現預金保有の検証に対する上場会社の懸念
一見対立しているようだが、通底する投資家と会社側の意見
2025年11月07日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日


