2021年01月04日
サマリー
◆家計金融資産残高は、2020年3月末を底に緩やかな拡大傾向にあり、2020年9月末に前年比+2.7%の1,901兆円と過去最高を更新した。上場株式と流動性預金の見通しを踏まえると、家計金融資産残高は12月末に再び過去最高を更新する公算が大きいと考えられる。
◆投資信託については、主要株価指数が史上最高値を更新している米国株式市場の強さや世界的な株価上昇等を背景に「アクティブ(北米型)」「パッシブ」への資金流入が目立つ。さらに、世界的なESG・DXブームを追い風に、ESG・DXを投資テーマとした「アクティブ(テーマ型)」の人気が高まっている点も注目される。
◆現在、つみたてNISA口座の運用成績は、その多くがプラスになっており、20~30代の若年層をはじめとする長期志向の個人投資家は「投資の成功体験」を実感しつつあると思われる。このことが、長期分散積立投資のさらなる普及へとつながり、家計の長期的な資産形成に向けた動きを一層促すことに期待したい。
◆また、個別の世帯については、新型コロナ危機の影響で収入が大幅に減少して厳しい状況に置かれた世帯が増えており、そうした世帯では消費を切り詰め、さらに貯蓄を取り崩しているケースも多いとみられる。政府による今後の給付金等の家計支援策においては、経済的に厳しい状況に置かれた世帯に的を絞った対応が一層重要になってくるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
四半期金融レポート 2020年9月号
コロナ禍の①間接金融、②家計、③中銀の貸出支援策を点検
2020年09月11日
-
新型コロナ禍の企業の資金調達環境に見られる特徴と今後の展望
政策効果で覆い隠されたリスクは今後徐々に顕在化へ
2020年09月10日
-
新型コロナ後の政府・日銀の企業金融支援策と企業の資金繰りの注目点
過去最大規模の予算措置や新型コロナオペをどう読むべきか?
2020年07月14日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
-
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日