2024年06月03日
サマリー
◆2023年12月末に過去最高を更新した家計金融資産は、2024年1~3月期の株高を踏まえると、同年3月末に再び過去最高を更新したと推測される。家計金融資産の構成比を確認すると、日本の現預金志向は依然として強い。先行きについては、2024年1月に始まった新しい少額投資非課税制度(新NISA)を追い風に、「貯蓄から投資へ」と舵が切られるかに注目したい。
◆日本証券業協会の調査によると、新NISAの2024年1~3月期の買付額(4兆6,822億円)のうち「国内株」は47%となり、日本の株式市場にも個人の投資マネーがしっかりと流入した。ただし、日本株の上昇に伴う利益確定売りの動きが強まった影響により、株式売買全体で見ると、個人は2024年1~3月期に日本株を売り越した。
◆今回の高インフレは、個人消費の下押し要因となっているだけでなく、「現金・預金」への資金流入の減少要因になっていると考えられる。当面、高インフレの影響は続く見込みであり、「現金・預金」への資金流入は低水準で推移すると想定される。また、家計の現預金の実質的な価値が大きく目減りしていることにも注意したい。
◆特筆される点として、家計の「現金・預金」(ストック)の実質値が大きく減少し、名目値と実質値が乖離しているという点を指摘できる。その乖離の程度は、四半期データで比較可能な1997年12月以降で最も大きい。こうした状況は、将来のために現預金を貯めても、それ以上のペースで消費者物価が上昇し、現預金の実質的な価値が減少している状況であり、現預金以外を通じたインフレ防衛も検討すべきと考える。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
新型コロナ下で積み上がる家計の現預金と今後の行方
給付金の再支給により現預金で見る過剰貯蓄は一段と増加へ
2021年11月08日
-
老後に向けた資産形成で再認識したい高インフレへの備え
食料・エネルギー価格高騰で急激に悪化した暮らし向き
2022年06月24日
-
新型コロナ下での家計金融資産の動向と2021年の展望
「つみたてNISA」の成功体験が家計の長期資産形成の追い風へ
2021年01月04日
-
今後10年の家計金融資産分布と次世代金融ビジネスへの示唆
重要度が増す後期高齢者対応と団塊ジュニアへのアプローチ
2021年09月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
一括取得型自己株式取得(ASR)入門
ASRに関する基本的な事項をQ&A形式で解説
2026年10月16日
-
QT下で問われる銀行の国債買入れ余力
IRRBB規制上の余地はなお残るが、原資制約を考慮すると上限は143兆円
2026年10月13日
-
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
最新のレポート・コラム
-
一括取得型自己株式取得(ASR)入門
ASRに関する基本的な事項をQ&A形式で解説
2026年10月16日
-
「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」における金融経済教育に関する記述
金融経済教育関連に限ると、大幅な拡充は行われない方向性か
2026年10月16日
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
なぜ企業は同じ情報を何度も提出しなければならないのか
公的統計のデジタル化を問う①-負担軽減の「効果」
2026年10月16日
-
成長投資の先にあるもの ~AI時代に問われる「組織能力」~
2026年10月16日
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日


