9月日銀短観から読み解く企業の資金繰り

企業金融関連DIは高水準を維持

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サマリー

◆日本銀行から全国企業短期経済観測調査(短観)の2015年9月調査結果が発表された。企業金融関連DIは、資金繰り判断DIが12%pt、金融機関の貸出態度判断DIが20%ptとなった。ともに前回調査から横ばいで、高水準を維持した。借入金利水準判断DIは足元の金利低下を反映し、前回調査から1%pt低下の-8%pt(最近)となった。


◆企業金融関連DIからみると企業の資金繰り環境は引き続き良好のようである。中国経済の減速や米国の利上げ観測など、先行きが不透明なこともあり、企業の業況判断は先行きの見通しが悪化している。今後売上高計画の下方修正が発生した場合など、資金繰りが悪化する可能性があることには留意が必要だろう。


◆銀行による企業向け融資残高は前年同月比で増加が続いている。設備投資や雇用を増やすため、資金需要が増加していることが背景にあるものとみられる。ただし、企業の資金調達が内部調達(留保利益等)を中心としていることに変化はなく、今後の景気動向により資金需要が低下した場合、まず外部調達を減少させることが予想される。今後の動向を注視したい。

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