6月日銀短観から読み解く企業の資金繰り

全体的に資金繰り環境は改善、中小企業金融支援策はいよいよ縮小か

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サマリー

◆日本銀行から全国企業短期経済観測調査(2012年6月)が発表された。当該調査の企業金融の項目をみると、企業の資金繰り判断DIは4%pt、金融機関の貸出態度判断DIは9%ptと、どちらも前回の3月調査から2%ptのプラスとなり、企業の資金繰り環境の改善が窺える結果となった。借入金利水準判断DI(最近)は-6%ptと前回から2%ptマイナスとなった。

◆全般的に企業の資金繰り環境の改善が確認できる内容であった。売上高計画が前回調査時より上方修正されており、企業の資金繰りに対する見通しに好影響を与えているものと考えられる。

◆企業規模別にみると、大企業より中堅企業・中小企業の改善幅の方が大きく、各種の中小企業金融支援策が浸透してきていることが窺える。また、堅調な復興関連需要などを背景に、特に非製造業に改善がみられた。

◆2012年6月に行われた府省庁版事業仕分け(行政レビュー)において、中小企業金融支援策に対して「抜本的改善」との評価が下された。具体的にはセーフティネット保証について2012年度後半に指定業種を見直すことが挙げられている。2013年3月末には複数の中小企業金融支援策が期限切れを迎える。2012年後半から2013年にかけ、ソフトランディングできるよう慎重な舵取りが求められる。

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