2026年09月04日
サマリー
◆ブロックチェーン技術の登場は、米ドル依存脱却と人民元国際化を模索する中国に、デジタル人民元を用いた新たな決済経路という選択肢をもたらしつつある。
◆中国が積極的に進めているmBridgeは、中国、タイ、UAE、サウジアラビア、モンゴルの中央銀行と香港・マカオの金融管理局が参加し、独自に開発されたブロックチェーン上で中央銀行デジタル通貨を取引するクロスボーダー決済ネットワークである。各国・地域が共通で取引台帳を管理するため、決済を制御する権限が特定の国に集中しにくい仕組みとなっている。また、決済効率の向上と通貨主権の維持の両立を図る設計となっている。
◆中国政府の発表によると、2025年11月末までにmBridge上で行われた取引の累計金額は人民元換算で3,872億元であり、うち約95.3%がデジタル人民元建てとなっている。mBridgeプロジェクトは今後も従来の銀行ネットワークに代わるクロスボーダー決済手段を必要とする国を取り込んでいくとみられる。取引シェアは今後変化していく可能性があるものの、mBridge上で先行して支配的なシェアを獲得することはデジタル人民元の国際化という目標を掲げる中国当局にとって大きな意義を持つといえよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
なぜ、デジタル人民元は「デジタル預金通貨」へ移行したのか
制度変更が示唆する中央銀行デジタル通貨の課題と中国の現実解
2026年06月10日
-
デジタル通貨覇権競争の幕開けと次世代決済の展望
『大和総研調査季報』2026年新春号(Vol.61)掲載
2026年01月26日
-
ホールセール型CBDCはクロスボーダー決済に変革をもたらすか?
『大和総研調査季報』2023年夏季号(Vol.51)掲載
2023年07月20日
-
デジタル人民元の基本的な特徴と仕組み
導入近づく中国の中央銀行デジタル通貨、二層構造による利点は何か?
2021年02月16日
同じカテゴリの最新レポート
-
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
-
中国:デジタル人民元のクロスボーダー決済基盤「CBETS(数幣達)」とは
ブロックチェーン上で進む「米ドル依存脱却」への布石 第2弾
2026年09月30日
-
地域金融力強化プランを踏まえた地銀業界再編の方向性
~再編による期待される相乗効果とは~『大和総研調査季報』2026年夏季号(Vol.63)掲載
2026年07月27日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

