サマリー
◆中国の不動産不況は、中国恒大集団(エバーグランデ)の経営破綻危機が報じられた2021年8月から丸5年が経過し、6年目に突入した。こうした中、2026年8月28日付の通知では、今後、新たに開発用地や建設許可を取得する場合は、住宅の完成後販売(現物販売)への移行を推進し、引き渡し不能リスクを根本から防止する、ことが明記された。実現すれば、「工事中断問題」は根本から回避されることになる。ただし、2026年8月27日以前に契約している場合は、従来の契約が維持されるため、効果発現には時間を要する可能性が高い。
◆内需は一段と減速している。2026年8月の小売売上は前年同月比0.4%増(以下、断りのない限り、変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)にとどまり、7月の0.6%増からさらに減速した。特に自動車販売金額は18.5%減に落ち込んだ。「内巻」と呼ばれる破滅的な価格競争が続いているほか、2026年からの新エネルギー車(NEV)の車両購入税の徴収開始(従来は一貫して免税→価格の5%)が響いている。2026年1月~8月の固定資産投資は7.2%減となり、マイナス幅を拡大させた。分野別に、1月~8月の製造業投資は2.3%減、インフラ投資は4.0%減、不動産開発投資は19.9%減となり、いずれもマイナス幅が拡大している。
◆このまま内需の減速・低迷が続くと、2026年の政府成長率目標(4.5%~5.0%)の達成が危ぶまれる。下限の4.5%を死守するために、さらなる金融緩和や財政出動が発動される可能性がある。預金準備率の引き下げや地方政府特別債券の増発などにより、地方政府の投資余力を高める政策が有効だと思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国経済見通し:政治の季節で経済が萎縮?
固定資産投資はマイナス幅が一段と拡大、内需低迷が続く
2026年08月25日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
中国経済見通し:2026年4月は急減速
固定資産投資は再び前年割れ、小売売上は微増にとどまる
2026年05月26日
-
中国:2026年は政府成長率目標の下限か
ただし、中東情勢緊迫長期化で下振れリスク高まる
2026年04月21日
-
中国:堅調スタートも持続性には疑問符
不動産不況、需要先食いのツケ、中東情勢緊迫化
2026年03月24日
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:注目の6つのネットワークと内巻の影
新型電力、計算力、新世代通信で世界を席巻か?
2026年09月24日
-
中国:不動産不況脱却に真っ当な政策を発表
「工事中断問題」回避のため「完成後販売」への移行を推進
2026年09月02日
-
中国経済見通し:政治の季節で経済が萎縮?
固定資産投資はマイナス幅が一段と拡大、内需低迷が続く
2026年08月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

