投資環境のデジタル化がもたらすリスク

IOSCOがネオブローカーに関する最終報告書を公表

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サマリー

◆投資環境のデジタル化は、とりわけソーシャルメディアを通じた詐欺行為や不適切な宣伝・販促活動など、新しい投資者保護上の課題を浮き彫りにした。証券監督者国際機構(IOSCO)はオンライン起因の投資被害に対処すべく、投資者保護に関する複数の取組みを展開している。2025年11月には、「個人投資家オンライン安全ロードマップ」という包括戦略の一環として、ネオブローカーに関する最終報告書(以下、最終報告書)が公表された。

◆ネオブローカーとは、オンライン専用の投資サービスを提供し、魅力的なインターフェースやソーシャルメディアを活用して顧客を獲得するブローカー(証券業者)である。特に若年層や投資初心者をターゲットに、売買手数料を低額ないし無料とする一方、売買価格差や為替手数料、付随サービスの提供などによって収益を得ている。最終報告書はネオブローカーの潜在的リスクとして、売買手数料収入以外に依存するビジネスモデルが利益相反につながる可能性や、実際の費用負担を隠した宣伝・販促活動、デジタル依存の運営によるシステム障害への脆弱性を挙げている。

◆最終報告書はIOSCOメンバー(規制当局)に対し、①個人投資家への誠実・公正な対応、②手数料の適切な開示と広告の透明性、③付随サービス提供時の収益開示と同意手続き、④取引関連収益と最良執行の考慮、⑤ITインフラの強化というネオブローカーに関する五つの勧告を指針として考慮し、必要に応じて規制強化を検討するよう求めている。また、国際的な規制協力や国をまたがる監督基準の策定も、今後の検討課題とされている。

◆日本でもネオブローカーに類似した存在として、スマホ証券が手数料の安さを強みに普及している。売買手数料以外の収益源を確保する必要性が利益相反につながり得るなど、最終報告書で提示されたネオブローカーに関する論点は日本のスマホ証券にも関連があり、デジタル化の進展にともなう投資者保護上の課題や規制の在り方を検討していくことが求められる。

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