GPIFのサステナブル投資はどこに向かうのか

ESG投資の大幅削減の裏側にはGPIFが抱える根本的な課題あり

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  • 調査本部 フェロー兼エグゼクティブ・サステナビリティ・アドバイザー 塩村 賢史

サマリー

◆GPIFの2025年度の運用収益額は41.4兆円と、2023年度に次ぐ歴代2番目の大きさとなった。基本ポートフォリオに近づけるためのリバランス等に伴い、国内株式から10兆6932億円、外国株式から4兆2013億円を回収し、国内債券などに大きく資金を配分した。国内株式からの回収額は、GPIFだけでプライム市場上場企業全体の株式取得(自己株取得)に相当する規模である。

◆国内株式の回収元を推計すると、ESG指数パッシブファンドから5兆円近くが回収され、特にMSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数など、トラッキングエラーが相対的に大きい「選別型」の指数への投資が大幅に削減されたと推計される。

◆GPIFは「ESG指数投資額の最適化」と説明しているが、何を目的に配分や残高を見直し、何をもって適正と判断しているのかは明らかになっていない。市場への影響や投資先企業へのメッセージを含め、より丁寧な説明が求められる。

◆筆者は、ESG指数投資の大幅削減の背景には、相対リスク(トラッキングエラー)を過度に重視する運用管理上の問題があるとみている。基本ポートフォリオや政策ベンチマークからの乖離を極力抑える姿勢は、ESG投資やオルタナティブ投資のような長期的なリスク・リターン改善を狙う投資とは相性が悪く相容れない。

◆GPIFのサステナビリティ投資の大幅削減は、企業の行動変容を促し、市場全体の持続可能性を高めるという好循環を逆回転させかねない。GPIFは「ESG指数投資額の最適化」の意味と目的を明確に示し、長期的な年金財政の安定に資するサステナビリティ投資のあり方を再提示すべきである。

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