GPIF「ESG指数投資効果検証結果」の読み方

報告書の結論には違和感、今後のGPIF側の説明に注目

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  • 調査本部 フェロー兼エグゼクティブ・サステナビリティ・アドバイザー 塩村 賢史

サマリー

◆年金積立金管理運用独立法人(GPIF)は、2026年3月に「ESG指数に基づく株式パッシブ運用の効果検証」を公表した。この効果検証は、GPIFのESG指数投資が企業行動にどのような影響を及ぼしているのかを検証する重要な取り組みであるが、GPIFのウェブサイト等での情報開示が抑制的であることが影響しているからか、注目は高まっていない。

◆この効果検証では、GPIFが継続して採用している3つの指数(MSCI日本株ESGセレクト・リーダーズ指数、MSCI日本株女性活躍指数、FTSE Blossom Japan Index)を対象に、指数への組入れ前後における企業のESG評価やPBRや株式時価総額などのKPIの推移を分析している。

◆指数への組入れの評価に直接使われるESGスコアについては、3つの指数ともに指数の組入れのタイミングに向けて有意に改善していることが明らかになった。一方、組入れ後の改善トレンドの継続性については、各指数で差がみられた。

◆GPIFはこの効果検証結果の開示に先立って、既にESG投資の削減を表明している。GPIFの「サステナビリティ投資方針」では、『「サステナビリティに関するリスクの低減や市場の持続可能性の向上」と「市場平均収益率の確保」の両立を図ることで、GPIFのポートフォリオ全体の長期的なパフォーマンス向上に貢献することを目指します』としており、今でもその方針は変わっていないはずである。

◆この効果検証結果を踏まえた上で、これからのESG指数投資を含むサステナビリティ投資をどう考えるのか、被保険者に対しても投資先企業に対しても、より丁寧な説明と積極的な情報発信をGPIFには期待したい。

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