ダイバーシティと投資パフォーマンス(4)

~役員や執行役員への外国人の選任状況は、投資指標に用いるには時期尚早か~

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2019年07月31日

  • 伊藤 正晴

サマリー

◆ダイバーシティと投資パフォーマンスの関係を探るため、役員外国人比率と執行役員外国人比率を用いて、その水準や業種平均との差で企業をグループ分けし、2014年から2018年の5年間について各グループに投資した場合の株式リターンを計測した。

◆各企業の株式に等金額を投資した場合のリターンは、外国人を選任している企業に限れば、外国人を積極的に選任している企業群の方がリターンが高い。しかし、選任の有無では期待とは逆に、外国人を選任していない企業群のリターンの方が高い。

◆時価総額加重リターンも、外国人を選任している企業では、外国人を積極的に選任している企業群の方が高いケースが多い。しかし、選任の有無では外国人を選任していない企業群の方がリターンが高く、リスクは低いという関係が見られた。

◆役員や執行役員への外国人の選任については、これを投資指標として用いることは難しいようである。ただ、役員や執行役員に外国人を選任している企業が少ないために個別企業による影響が表れていることや、外国人の選任が効果を発揮するまでには至っていないことが結果に影響している可能性がある。

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