2019年05月27日
サマリー
◆ダイバーシティと投資パフォーマンスの関係を探るため、管理職外国人比率と部長職外国人比率を用いて、その水準や業種平均との差で企業をグループ分けし、各グループに投資した場合の株式リターンを計測した。計測期間は、2014年から2018年の5年間である。
◆各企業の株式に等金額を投資した場合のリターンを分析すると、外国人を登用している企業の中では、外国人を積極的に登用している企業群のリターンが高い。外国人を積極的に登用していることや、これが何らかの代理変数として機能していることを市場が高く評価している可能性があろう。
◆時価総額加重リターンの分析では、管理職に外国人を積極的に登用している企業群のリターンは、外国人を登用していない企業群や配当込みTOPIXよりも高い。リスクも少し高いが、リスク当たりリターンも高く、管理職に外国人を積極的に登用している企業という事実が投資パフォーマンスの向上に寄与する可能性があろう。
◆特に、業種内での比較で管理職に外国人を積極的に登用している企業群の各年のリターンは、全ての年で配当込みTOPIXよりも高い。もちろん、外国人の登用状況などのESG要因については中長期の投資パフォーマンスの向上に寄与することが期待されているのであるが、各年のリターンが配当込みTOPIXを超えていることは投資対象として非常に魅力的ではないか。
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