2026年04月06日
サマリー
◆アセットオーナー・プリンシプル(AOP)が策定されて1年半近くが経過し、受け入れ数は順調に拡大しているものの、各アセットオーナーの取組方針などを丹念に見ていくと、課題も明らかになってきた。アセットオーナー改革の実効性を高めるためには、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードのようにフォローアップが必要だと考えている。
◆企業年金については、企業年金連合会が主催する「企業年金スチュワードシップ推進協議会」により、AOPを受け入れるハードルが大きく引き下げられたことは、一つの成果だが、その手軽さが形式的なコンプライやフリーライダーを生んでいる可能性がある。資本市場の持続的な成長を促すためには、インベストメントチェーンの各主体が共に汗をかくことが大事である。
◆資本市場の持続的な成長のために、企業と直接対話をしないアセットオーナーの大事な役割は、パートナーである運用会社自らがスチュワードシップ活動を積極的に行うようなインセンティブ(評価体系)を設計することである。また、サステナビリティの考慮に関しては、受託者責任の範囲で行うべきことであるが、コンプライでもエクスプレインでもなく、意思表示すらしていない企業年金がほとんどという現状は問題である。
◆大学等に関しては、企業年金とは異なり、AOPの取組方針の内容は非常にバラエティに富んでいる。自らの立場、運用資金の性格などを踏まえて、各主体が主体的に考えていることが感じられる取組方針が多い。企業年金とは異なり、サステナビリティ投資については積極姿勢を示す主体が多いが、運用目的や運用目標の達成に必要な取組みなど、スチュワードシップ責任の果たし方については、各主体が検討を続けていくことが必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
株主提案に対する機関投資家の議決権行使
運用会社の議決権行使基準と過去事例から今後を見通す
2026年04月23日
-
DC制度改正、企業の人的資本施策の好機に
マッチング拠出掛金額の制限撤廃、iDeCo改革、加入者の利便性向上
2026年04月09日
-
家計金融資産の国際比較
日本の「貯蓄から投資へ」は進みつつあるものの、さらなる進展の余地あり
2026年03月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

