サマリー
◆最近消費者マインドの低下を示す指標が表れているが、1989年の消費税導入時や1997年の税率引上げ時の状況を見ると、消費税導入・税率引上げ前には景気動向とは逆に消費者マインドが悪化した一方、駆け込み需要が発生した。導入・引上げ後は、直後に消費自体は反動減が生じたものの、消費者マインドは改善し、やがて消費も改善した。
◆今回も、消費税率引上げを巡る議論が既に消費者マインドに影響している可能性があるが、消費税率が予定通り引き上げられることが決まれば、消費者マインドは更に悪化・横ばいとなる可能性がある。しかし、必ずしも実際の景気の悪化を示すものではないと考えるべきである。また、引上げ後の来年4月以降は、消費者マインドは改善する一方、実際の消費は一時的な反動減を見せるものの、その後、元に戻る可能性が高い。消費者マインドの改善の度合いは、再来年10月に更に2%引き上げられることもあり、完全には元に戻らない可能性はある。
◆消費者による物価予想については、過去においては、消費税導入・税率引上げが明確になった後、実際の物価動向には関係なく、物価が上がるとする人が急激に増え出し、実際の導入・引き上げ後に急減した。今回も物価が上がるとする人は既に9割近くなっており、消費税増税予定が既にかなり影響している可能性がある。仮に予定通りの引上げが決まった場合、来年4月までは「上がる」とする人は高止まりするとみられる。その後、一旦低下する可能性はあるが、その度合いや更にその先については、円安・原油高・金融政策などの動向はもちろん、再来年10月予定の再度の消費税率引上げにも左右されると考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年8月機械受注
非製造業(船電除く)を中心に弱含み、政府は基調判断を下方修正
2025年10月16日
-
経済指標の要点(9/13~10/15発表統計)
2025年10月16日
-
25年度最低賃金改定の総括と今後の焦点
新政権では欧州型目標の導入など最低賃金政策の再考を
2025年10月14日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

