サマリー
◆個人の自助努力による資産形成を後押しする制度として期待されるiDeCo(個人型確定拠出年金)は、2017年1月に加入対象者が大幅に拡大されて以降、会社員や公務員を中心に加入者数が増えている。2025年3月末の加入者数は363.1万人と、対象者拡大前の2016年12月末の30.6万人から約12倍に増えた。
◆対象者拡大後8年間のiDeCoの加入動向を踏まえると、制度改正のタイミングで加入者が急増しており、政策の効果は着実に表れている。また、コロナ禍を機とした人々の資産形成の意識の高まりや、株式相場の動向などがiDeCoの加入動向に影響していると考えられる。
◆もっとも、iDeCoの加入率はまだ1割に満たない。今後も利用者の利便性を高める制度改正を実施し、より多くの人々へiDeCoの利用推進を図る必要がある。2025年予定の制度改正では、iDeCoの拠出限度額の見直しは見送られた。だが、2024年12月実施の限度額の引上げの効果を見ると、掛金を積み増す加入者が増えている。自助による老後の備えが重要な企業年金に未加入の会社員にも、同様の効果が期待できるのではないか。老後所得の充実に向けて、拠出限度額の引上げを実施すべきだろう。
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