サマリー
◆「資産所得倍増プラン」の重点政策であるiDeCo改革への動きが加速している。注目の論点がiDeCo拠出限度額の引上げだ。会社員や公務員のiDeCo限度額については、2024年12月に一部見直された。だが、働き方等の違いによって限度額が異なる現状の仕組みは、公平性の観点から課題が残されている。
◆働き方が多様化する中、公平で中立的な私的年金の拠出の仕組みとして、検討されてきたのがiDeCoを活用した「穴埋め型」や「共通の非課税拠出枠」である。2024年12月20日に与党が公表した「令和7年度税制改正大綱」では、企業型DCの拠出限度額を月6.2万円へ引き上げ、iDeCoによる穴埋め型の拠出を可能とすることが盛り込まれた。
◆iDeCo加入者の掛金の拠出状況を見ると、限度額上限近くまで拠出しているケースが少なくなく、掛金を増やして拠出したい加入者のニーズは強いだろう。今回のiDeCo限度額の引上げは、国民の安定的な資産形成の実践を後押しする施策といえる。今後もiDeCoのさらなる普及拡大に向けて、不断のiDeCo改革の実行が望まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
DC自動移換者問題の解決に向けて
自動移換者を「発生させない」「増やさない」対策が求められる
2025年03月03日
-
年金積立金の平滑化メカニズムにリスクはないか?
GPIFの2024年度3Q運用実績と年金財政の動向
2025年02月19日
-
少子化対策の財源確保に向けた医療・介護の歳出改革
医療・介護費の伸びを抑制する視点がますます重要に
2025年02月10日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日