サマリー
◆公的年金の給付水準の抑制が見込まれる中、豊かな老後を送るためには年金受給額を厚くする発想が求められる。この点、年金の視点からも高齢期にできるだけ長く働くことが本質的な備えとなる。2020年の年金改正では、より長く就労することと組み合わせることで高齢期の経済基盤を充実させることができる制度への見直しが行われた。
◆現在、65歳まで働ける一応の環境は整備されつつある。だが、継続雇用による賃金引下げが、高齢者の就業意欲を低下させている点は課題である。また、65歳以降も働ける社会を実現していく上では、フリーランスなど雇用以外の働き方や、テレワーク、短時間労働など、より多様で柔軟な働き方の選択肢を拡大することが望ましい。
◆まずは65歳までの就業環境の改善が喫緊の課題であり、同時に70歳、75歳とより長く働ける社会の実現を着実に目指していく必要がある。企業には高齢者雇用への取り組みを若年・壮年層も含めた就業環境全体を見直すきっかけとすることが求められ、政府には働き方が違っても中立的な年金税制の構築が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日