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2019年財政検証をどう見るか

将来見通しに大きな改善は見られず、制度改革が急がれる

2019年09月05日

政策調査部 研究員 佐川 あぐり

サマリー

◆2019年8月27日、5年に一度の公的年金の財政検証の結果が公表された。経済成長と労働参加が進めば、将来の給付水準は所得代替率50%以上を維持できるとの見通しが示された。しかし、仮に低成長となれば現行制度のままでは50%を確保できない見通しであることも示された。

◆今回の財政検証の結果を過去のそれと比較すると、給付水準に関する調整終了後の所得代替率が50%をわずかに上回るところで長期的な財政均衡が保たれるという見通しに変わりはない。また、基礎年金のスライド調整終了年度については、2014年検証では2043年度(ケースE)という見通しであったが、今回は2047年度(ケースⅢ)と、長期化している姿に変化がない。

◆もっとも、所得代替率で将来を見通すことには注意が必要だ。そもそも、夫婦共働きや単身世帯が増えている中で、モデル世帯で見た所得代替率だけで年金の問題を考えることには無理が生じてきている。また、所得代替率とは新規裁定時(受給開始時)の年金水準の話にすぎず、仮に将来にわたり所得代替率50%以上を維持できるとしても、既裁定年金の給付水準は実質賃金の上昇に伴い確実に低下していく。

◆今後は財政検証の結果を踏まえた年金改革が議論されることになる。焦点の一つは、厚生年金のさらなる適用拡大だ。厚生年金の加入者が増えれば、個人ベースでは年金額を増やすことができるし、年金制度全体としても基礎年金の給付水準を改善する効果を期待できる。また、基礎年金の保険料拠出期間の延長や受給開始時期の柔軟化は、高齢者雇用拡大の点からも重要な見直しだ。

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