2025年01月14日
サマリー
◆2025年1月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「東北」「関東甲信越」など4地域で改善、「四国」など4地域で悪化、そして「東海」は横ばいだった。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、消費が「東北」で改善した一方、「北陸」「近畿」「四国」などでは悪化した。「東北」では供給体制の正常化で乗用車の新車登録台数が減少から下げ止まりに転じつつあり、観光・ビジネス需要などが堅調でサービス消費も改善している。一方、「北陸」では百貨店・スーパー等の売上高に対して物価上昇による影響が懸念されており、さらに「北陸」「近畿」「四国」「九州・沖縄」では家電販売の勢いも弱まっている。住宅投資は、「北陸」で能登地域の地震や豪雨後の家屋修繕の注文が増加するなどの動きもある。雇用・所得環境は前回から大きな変化は見られなかった。企業関連では、企業マインドが「九州・沖縄」で製造業・非製造業ともに悪化したものの、「中国」「北陸」「関東甲信越」「近畿」では製造業を中心に改善した。「中国」は金属製品や電気機械など、「北陸」は汎用・生産用・業務用機械や飲食・宿泊などがプラスに寄与した。生産は地域でばらつきがあり、「東北」「関東甲信越」などで改善した一方、「北海道」「四国」「近畿」などは悪化した。「東北」では輸送機械で生産が改善、「関東甲信越」では汎用・生産用・業務用機械において減少していた生産が下げ止まりに転じている。一方、「北海道」では金属製品と電気機械、「四国」では化学で生産が悪化しており、「近畿」でも電子部品・デバイスで生産の動きが弱い。輸出は「中国」の自動車関連や鉄鋼において悪化した。設備投資は前回から変化はなかった。
◆全国的に見ると、日本経済は緩やかな回復基調にあるが、地域でばらつきも見られる。観光・ビジネス需要の堅調さが一部地域で消費を押し上げる一方、物価高などの影響で消費者の節約志向が強まっている。企業マインドや生産の改善が見られる地域もあるが、原材料費・エネルギー価格の上昇やこれに伴う建築コストの高騰、また海外経済の動向が、生産や輸出に悪影響を及ぼしている地域もある。今後は、原材料費の上昇や建築コストの高騰などの物価高、海外経済といったリスク要因の見極めが必要だ。消費者の節約志向や企業の投資意欲の変化が、地域経済の回復にどのように影響するかを注視するべきだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
「東海」「四国」など7地域で改善~石破新政権や海外情勢の動向も注視
2024年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2024年10月09日
-
「近畿」「北陸」など7地域で改善~リスクは消費における物価高の影響?
2024年7月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2024年07月10日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
インド2025年度予算案:消費回復が民間投資を促す好循環を生むか
企業投資の誘発効果の大きい耐久財セクターへの波及がポイント
2025年02月06日
-
消費データブック(2025/2/4号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年02月04日
-
「稼ぐ力」の強化に向けたコーポレートガバナンス研究会 会社法の改正に関する報告書
従業員等への株式の無償交付、株式対価M&A、実質株主の把握など
2025年02月04日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日
-
中小企業の更なるM&A促進には環境整備が急務
2025年02月07日
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
-
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日