約束手形の急減と資金繰りへの影響

期末決算に表れない資金繰りの変化と金融機関の役割

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サマリー

◆法人企業統計によれば、2025年度の支払手形残高は前年度比17.6%減の18兆5,098億円となり、1991年度に減少に転じて以降最大の減少率を記録した。卸売業・製造業・建設業がそろって2割近く減っている。2020~2024年度は残高がほぼ横ばいで、紙の手形がでんさいに置き換わる動きが中心だった。足元では、手形サイトの短縮など取引条件の見直しも重なり、支払手形そのものが減り始めている。

◆手形の本源的な出し手と最終的な受け手を業種・規模別に抽出し、企業間信用の変化を法人企業統計で確かめた。手形の回転期間はすべての区分で短くなったが、出し手では支払手形の短縮を買掛金の長期化で補った形跡はなく、受け手でも商社金融の担い手である大手卸売業を別とすれば、受取手形の減少が売掛金の増加に置き換わってはいない。所要運転資金を左右する収支ズレは資本金1億円以上の区分を中心に拡大し、拡大幅が最も大きい資本金10億円以上の建設業では実質借入金も増えたが、収支ズレ拡大への寄与は手形の減少よりも売掛金・棚卸資産の増加の方が大きく、その背景には受注・施工面の事情があるとみられる。

◆期末決算でみる限り、企業間信用の縮小で資金繰りが全体として悪化した形跡はない。もっとも、運転資金不足は、期末残高に表れない月々の売上や仕入の変動からも生じる。代金の一部を手形で支払う慣行は、こうした期中の資金繰りの波をならす役割を担っていたため、手形がなくなれば、その変動は企業の手元に直接表れる。企業間信用の縮小の受け皿となる金融機関には、決算書の確認にとどまらず、月次の入出金など期中の資金繰りを継続的に把握しながら資金を供給する体制が求められる。

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