5年後の約束手形の利用廃止について

資金手当ての役割は薄れ手形残高は30年前の4分の1に

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サマリー

◆5年後(2026年)の約束手形の利用廃止を目指し、政府は「約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画」の策定を産業界、金融界に求める方針だ。去る2月19日に取りまとめられた中小企業庁「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会」を受けた経済産業大臣記者会見で明らかになった。背景には下請取引の適正化、金融のデジタル化・ペーパーレス化の社会的な要請がある。

◆すでに支払手形は残高ベースで30年前の4分の1に落ち込んでいる。振出、受取、振出の連鎖の源流にある建設業で手形払いが減少した。企業単位でみれば手形払いから現金払いへの切り替えは資金不足要因となるため、5年後の全面廃止に向けては個々の企業の資金手当てが課題となる。もっとも、コロナ禍による不確実性はあるが30年前に比べ借入余力があることからその程度は大きくないと思われる。

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