2024年05月13日
サマリー
◆手形・小切手機能の全面電子化に向けた取り組みが進行中である。送金以外に支払繰り延べ機能を持つ約束手形に着眼すると課題は3点ある。第1に、延べ払いの動機となる資金不足の解消である。第2は、支払手形から短期借入金へ資金調達手段のシフトである。第3は、紙の手形から「でんさい」(電子記録債権)への移行である。繰り延べ機能のない小切手はインターネットバンキングへの移行が課題となる。
◆支払手形の残高はこの30年間で4分の1以下の水準となったが、減少ペースは約10年前から鈍化している。発行においては、建設業などサプライチェーンの上流にある業種、規模別には大企業の割合が高い。もっとも以前に比べれば資金不足は緩和され、資金調達手段としての手形機能は薄れつつある。現金払化、手形サイト短縮、割引料の負担を旨とする下請法の指導基準の改正もあり、なお一段の手形削減が進むと期待される。
◆残るボトルネックがデジタル化だ。特に事業規模が小さく、平均年齢が高い中小企業の課題が大きい。支払側において手形・小切手機能を電子化しても、受取側で対応できなければネットワークが成立しない。でんさい、インターネットバンキングがデジタル化された経理事務の1つの機能であることを考えれば、必要なのは経理業務全般に視野を広げたデジタル化支援である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
大和のセキュリティトークンナビ 第3回 不動産セキュリティトークンとは?(後半)
不動産セキュリティトークンの発行・流通動向、税制
2026年01月26日
-
米国アセット・ウェルスマネジメント業界のダイナミズム
~変革を生み出すイノベーションとは~『大和総研調査季報』2026年新春号(Vol.61)掲載
2026年01月26日
-
大和のセキュリティトークンナビ 第2回 不動産セキュリティトークンとは?(前半)
不動産投資の仕組み、不動産セキュリティトークンの特性
2026年01月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
-
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
-
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日


