インフラ関連の地方公営企業の投資と財源

持続可能性から見た官民連携の可能性

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2015年10月22日

  • 中里 幸聖

サマリー

◆我が国は経済インフラの整備・運営において民間企業が担っている部分が相対的に大きい国と言えるが、水道をはじめとして地方公営企業がインフラ整備・運営に果たしている役割も一定程度ある。経済インフラである水道事業、工業用水道事業、交通事業(軌道、鉄道)、電気事業、ガス事業、港湾整備事業を実施している地方公営企業について、持続可能性の観点から建設投資額と財源について整理する。


◆ここ10年程の地方公営企業の建設投資の財源を見る限りでは、水道、交通、工業用水道、電気、ガスについては、国からの直接的な資金的支援に依存しなくても、建設投資を賄える方向に進んできていると考えられる。港湾整備は国からの資金的支援が引き続き必要と思われる。下水道は自立的に持続可能性を高めていくには課題があると考える。


◆ある程度の水準に達した経済インフラを今後とも持続可能なものとしていくためには、維持・更新を含む建設投資を料金収入で賄えることが望ましい。地方公営企業の建設投資額の料金収入に対する割合をみると、水道、交通、工業用水道、電気、ガス、港湾整備は100%未満であり、建設投資額を賄うだけの料金収入を一応は確保していることになる。さらに持続可能性を高めるには、さまざまな官民連携の検討・実施が求められる。

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