サマリー
◆我が国は経済インフラの整備・運営において民間企業が担っている部分が相対的に大きい国と言えるが、水道をはじめとして地方公営企業がインフラ整備・運営に果たしている役割も一定程度ある。経済インフラである水道事業、工業用水道事業、交通事業(軌道、鉄道)、電気事業、ガス事業、港湾整備事業を実施している地方公営企業について、持続可能性の観点から建設投資額と財源について整理する。
◆ここ10年程の地方公営企業の建設投資の財源を見る限りでは、水道、交通、工業用水道、電気、ガスについては、国からの直接的な資金的支援に依存しなくても、建設投資を賄える方向に進んできていると考えられる。港湾整備は国からの資金的支援が引き続き必要と思われる。下水道は自立的に持続可能性を高めていくには課題があると考える。
◆ある程度の水準に達した経済インフラを今後とも持続可能なものとしていくためには、維持・更新を含む建設投資を料金収入で賄えることが望ましい。地方公営企業の建設投資額の料金収入に対する割合をみると、水道、交通、工業用水道、電気、ガス、港湾整備は100%未満であり、建設投資額を賄うだけの料金収入を一応は確保していることになる。さらに持続可能性を高めるには、さまざまな官民連携の検討・実施が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
PFIとPPP
ニュースで見かける官民連携のキーワード 第1回
2013年08月07日
-
鉄道の経営形態の議論と「まち」
2011年12月14日
-
公営地下鉄の建設資金と収益状況
ネットワーク拡大から収益向上へ
2012年05月17日
-
地方公共団体の発電の取り組み
分散型発電に向けて
2012年07月20日
-
持続可能なインフラ整備に向けて
~官民連携の強化と長期資金~『大和総研調査季報』 2012年夏季号(Vol.7)掲載
2012年09月03日
-
大量更新期を迎える上下水道
官民連携と取捨選択が持続性向上に重要
2013年03月11日
-
国土強靭化の焦点
~大規模な更新投資が必要なインフラ群~『大和総研調査季報』 2013年春季号(Vol.10)掲載
2013年06月03日
-
みんなのためのインフラ更新と国土強靭化①
国土強靭化の論点と課題
2013年05月07日
-
みんなのためのインフラ更新と国土強靭化③
人口減少下での重点化・優先順位付け
2013年06月27日
同じカテゴリの最新レポート
-
持続可能な社会インフラに向けて 水道広域化のスケールメリットの検証と課題
足下のコスト削減よりむしろ技術基盤の強化
2025年04月22日
-
水道管路の性能劣化の現状とその対策
都市部の経年化よりむしろ低密度・人口減地域の投資財源不足が課題
2025年03月14日
-
地方創生10年 職種構成に着眼した東京一極集中の要因と対策
どうして若者は東京を目指すのか
2024年12月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日