サマリー
◆本稿は、政府が2026年7月14日に閣議決定した「統合イノベーション戦略2026(以下、戦略2026)」について、過去の戦略との違いをテキスト分析により定量的に検証したものである。TF-IDFを用いたワードクラウドから、2025年は準備・設計・評価のレイヤーが厚く、基盤整備の運用・実装設計に重心があったのに対し、2026年は重点化と戦略実装へ重心が移り、優先度設定と安全保障接続が強化されていることを示す。
◆一方、直近2年間のイノベーション政策には共通する政策軸もある。ワードクラウドや共起ネットワークから、「基盤整備×データ活用×人材育成」を中心に、政策実装、研究から産業化への接続、人材・育成のクラスターが確認される。政策全体は研究から実装・産業化まで一気通貫で組まれている。
◆最新の経済学の実証研究では、イノベーション政策の有効条件について、「集積の重要性」「知識普及」「R&Dに対する税額控除」「研究生産性」「人的資本」などが指摘されている。地理的な近接性は知識の伝播や効率的な労働マッチングを促進し、R&D税額控除は中小・新興企業で効果が強い。さらに、AI for Scienceやデータ基盤整備、ロスト・アインシュタインの発掘、高度外国人材の受け入れと定着も重要である。
◆戦略2026は「重点化」「実装」「安全保障接続」を強めている点で、近年のイノベーション政策研究が示す有効条件と一定程度整合的である。ただし、政策効果を高めるには、地域・分野への集中投資、中小・新興企業などのクラスター強化、国内外の高度人材の発掘・定着、データ基盤の実効的な整備に加え、レント化やロビイングを制度的に抑止する規律ある実装と政策運営が求められる。
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