サマリー
◆2016年12月8日に、自由民主党・公明党は「平成29年度税制改正大綱」を公表した。本稿は、固定資産税、相続税・贈与税関連の改正について解説・分析する。
◆大綱では、タワーマンションにおける建物部分の固定資産税額について、1棟全体の税額を各戸に按分する方法を見直すとしている。改正により各戸の固定資産税額は低層階ほど減少、高層階ほど増加し、現行比で最大7%程度の増減となるものと考えられる。もっとも、今回の改正はあくまで固定資産税の「税額」の改正であり固定資産税評価額の改正ではないため、相続時の相続税の評価額には直接影響しない。
◆このほか、大綱では、非上場株式の相続税評価額の計算方法の見直し、事業承継税制の見直し(要件緩和)、相続税の物納優先順位の見直し(上場有価証券等を第1順位に)、非居住者等に係る相続税・贈与税の課税対象範囲の見直しを行うとしている。
◆金融庁が要望していた上場株式等の相続税評価額の見直しは大綱に盛り込まれなかったが、他の資産との評価の平仄を整える観点から、引き続き検討することが望まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2017年度改正税法のポイント(個人編)
つみたてNISAの創設、配偶者控除改正、非上場株式相続評価見直し等
2017年06月07日
-
上場株式等の住民税の課税方式の実質見直し
今年(2016年分所得)の確定申告から適用可、最大5%減税に
2017年01月25日
-
高層マンションに対する課税強化の方向
2018年から制度変更か
2016年02月09日
-
あるべき上場株式等の相続評価に向けて
金融庁、上場株式等の相続税評価の見直しを要望
2016年10月20日
-
税制改正大綱—役員給与の見直し
中長期の業績に連動するパフォーマンスシェアを税制上手当て
2016年12月21日
-
税制改正大綱—積立NISAの創設等
非課税枠40万円・20年間の積立NISAは投資初心者向けに普及か
2016年12月19日
-
税制改正大綱—外国子会社合算税制の見直し
「トリガー税率」は部分的に維持。平成30年4月以降事業年度から適用。
2016年12月16日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
-
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日