サマリー
◆2015年より相続税の最高税率が55%に引き上げられ、基礎控除額が4 割縮減されるなどの課税強化が行われた。これに伴い、高層マンション(いわゆるタワーマンション)を利用した相続税の節税が、特に富裕層の間で注目されている。この節税に関して、2015年10月27日の政府税制調査会でも取り上げられ、委員から問題視されたとの報道もある。
◆国税庁が実施したタワーマンションの売買価格と財産評価額のかい離率に関するサンプル調査によると、平均で約3倍、最大で約7倍のかい離率があった。当該マンションを賃貸に出せば、さらに低い価額での評価が可能となる。
◆このような現状の中、報道(※1)では、相続税の評価額を高層階ほど引き上げることにより、節税を抑制させるべく、総務省令の改正案を今秋にもまとめ、与党の税制調査会で議論し、早ければ17年に省令を改正し、18年1月から実施するとされている。
◆一方、価格変動リスクがあるという点に変わりはないのに、不動産と比較して著しく不利に扱われている上場株式に対する評価方法についても、併せて見直しする必要があるだろう。
(※1)日本経済新聞(2016年1月24日付朝刊)
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
金融庁、NISAのこども支援措置・投資商品入替措置などを要望
令和8年度税制改正要望—NISAの全世代化に向けた取組みが続く
2025年09月11日
-
道府県民税利子割への清算制度導入を提言
令和8年度税制改正での実現は不透明な情勢
2025年08月13日
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日