「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)

所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析

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2025年03月19日

サマリー

◆2025年3月4日、衆議院にて2025年度税制改正法案が修正を経て賛成多数で可決された。修正後の法案(以下、与党修正案)は年度内に参議院で可決・成立する見通しだ。本レポートは与党修正案における「103万円の壁」への対応につき解説する。

◆税法上の「103万円」には、所得税の課税最低限としての103万円と、学生や「配偶者手当のある世帯の被扶養配偶者」において扶養の範囲で働ける上限年収としての103万円という2つの意味がある。国民民主党は、これらの大幅な引上げにより、①経済対策、②ブラケットクリープへの対応、③生存権の確保(所得が最低生活費に近い者に課税しないこと)、④働き控えの解消、の4つの政策実現を目指していた。与党修正案は、国民民主党が主張した4つの政策を財政規律上許す範囲で取り込んだものといえる。

◆本レポートにて、与党修正案の実施によるマクロ経済への影響を試算した。その結果、71万人(学生61万人、被扶養配偶者10万人)が労働時間を延ばすことで、雇用者報酬は年0.1兆円、減税効果と合わせて個人消費は年0.9兆円増加するとみられる。

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