サマリー
◆2016年12月8日に、自由民主党・公明党は「平成29年度税制改正大綱」を公表した。本稿は、NISA関連の改正について解説・分析する。
◆大綱では、「積立NISA」を創設するとしている。積立NISAの年間非課税枠は40万円、非課税で保有できる期間は購入時から最大20年間、新規投資が行える期間は2018年から2037年までの20年間、対象商品は累積投資に適した商品性を有する一定の株式投信・ETFに限られる(個別株は含まない)。非課税枠が120万円・5年間の現行のNISA(以下、現行NISA)とは選択制となる(併用はできない)。
◆積立NISAと現行NISAを比較すると、非課税で投資できる期間が長い点が積立NISAの利点である一方、投資対象の商品と投資方法の自由度が高い点が現行NISAの利点と言える。大まかに言うと、現行NISAは投資中級者向け、積立NISAは投資初心者向けの制度という棲み分けになるかもしれない。
◆今後、現行NISA、ジュニアNISA、積立NISAの3つの制度について積立NISAに寄せる形での一本化が検討されるものと考えられる。より制約の多い制度への一本化が検討される中、分配金再投資やスイッチングで非課税枠を消費する現行NISAの「使いづらさ」の改善が難しくなることが懸念される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
上場株式等の住民税の課税方式の実質見直し
今年(2016年分所得)の確定申告から適用可、最大5%減税に
2017年01月25日
-
税制改正大綱—資産課税・相続税等の見直し
タワーマンションの建物部分固定資産税は最大7%程度の変動
2017年01月05日
-
2017年度税制改正でNISAはどう変わる?
金融庁、積立NISAの導入・現行NISAの投資可能期間の恒久化を要望
2016年09月13日
-
税制改正大綱—外国子会社合算税制の見直し
「トリガー税率」は部分的に維持。平成30年4月以降事業年度から適用。
2016年12月16日
同じカテゴリの最新レポート
-
道府県民税利子割への清算制度導入を提言
令和8年度税制改正での実現は不透明な情勢
2025年08月13日
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
-
「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)
所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析
2025年03月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日