上場株式等の住民税の課税方式の実質見直し

今年(2016年分所得)の確定申告から適用可、最大5%減税に

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2017年01月25日

サマリー

◆2016年12月8日に公表された「平成29年度税制改正大綱」により、上場株式等の住民税の課税方式が事実上見直されることが明らかになった。


◆上場株式等の配当所得については、従前より、申告不要制度・申告分離課税・総合課税の選択について納税者が任意に選択できたが、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することも可能であることが明確化された。特定公社債等の利子所得および源泉徴収ありの特定口座内の上場株式等の譲渡所得等における申告不要制度と申告分離課税の選択においても、同様である。


◆所得税と住民税で異なる課税方式を選択することが納税者のメリットとなるケースは主に2つある。1つは、上場株式等の配当所得について所得税は総合課税、住民税は申告不要制度(または申告分離課税)を選択することで住民税の税負担を抑えられるケースが挙げられる。もう1つは、所得税は申告分離課税で損益通算や繰越控除を利用する一方、住民税は申告不要制度を選択し国民健康保険料等の増加を抑えられるケースが挙げられる。


◆これらの改正は現行法の解釈により実現するため、2016(平成28)年分の所得に対する2017(平成29)年2月16日~3月15日に行われる確定申告においても適用できる。ただし、所得税と住民税で異なる課税方式を選択するには、所得税の確定申告書を税務署に提出する日の前日以前に、別途、住民税の申告書を市区町村に提出する必要がある。

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