税制改正大綱—役員給与の見直し
中長期の業績に連動するパフォーマンスシェアを税制上手当て
2016年12月21日
サマリー
◆12月8日、与党が税制改正大綱を公表した。法人課税に関して、役員給与の見直しが盛り込まれている。役員給与に関する税制は、損金算入が認められる給与を、原則として定期同額給与・事前確定届出給与・利益連動給与に限るというものである。
◆大綱は、利益連動給与に認められる連動指標を拡大している。現行制度では、「当該事業年度」の「利益」に関する指標に限られているが、大綱では、「株価」や「売上高」に関する一定の指標が追加され、「当該事業年度後の事業年度又は将来の所定の時点若しくは期間の指標」も認めるとされている。また、利益連動給与として、中長期の業績に連動して交付される「株式」も認められ、いわゆるパフォーマンスシェアについて税制上の手当てがなされている。
◆新株予約権による給与に関して、現行制度では不相当に高額な部分を除き損金算入が認められるが、大綱は、損金算入が認められるものを、事前確定届出給与又は利益連動給与の損金算入要件を満たすものに限定している。
◆譲渡制限付株式に関しては、現行制度では自社又は完全親会社の株式に限られているが、大綱では、それ以外の会社の株式も追加されている。また、非居住者に交付した場合、現行制度では会社側は損金算入が認められないが、大綱ではこれを認めることとされている。
◆改正の適用時期は、新株予約権・譲渡制限付株式等については、平成29年10月1日以後に支給・交付決議をする給与について適用され、それ以外の部分については、平成29年4月1日以後に支給・交付決議をする給与について適用される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2017年09月27日
役員給与の見直し(10月施行分)のポイント
税制非適格ストック・オプションと譲渡制限付株式を中心に
-
2017年01月25日
上場株式等の住民税の課税方式の実質見直し
今年(2016年分所得)の確定申告から適用可、最大5%減税に
-
2017年01月05日
税制改正大綱—資産課税・相続税等の見直し
タワーマンションの建物部分固定資産税は最大7%程度の変動
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2022年05月25日
利上げで米国は景気後退に陥るか
長期金利の急上昇による株価下落、逆資産効果に要警戒
-
2022年05月25日
インフレ抑制と成長維持の両立の難しさ
-
2022年05月25日
肥大化する業務
その業務は利益に貢献しているのか
-
2022年05月24日
欧州経済見通し まとわりつく負のオーラ
ウクライナ侵攻の長期化によって、不透明さを払拭できず
-
2022年05月25日
「制度」と「執行」の狭間にある闇
よく読まれているリサーチレポート
-
2022年03月22日
日本経済見通し:2022年3月
ウクライナ情勢の緊迫化による日本・主要国経済への影響
-
2022年01月24日
円安は日本経済にとって「プラス」なのか「マイナス」なのか?
プラスの効果をもたらすが、以前に比べ効果は縮小
-
2022年03月23日
ロシアのウクライナ侵攻で一気に不透明感が増した世界経済
-
2022年02月10日
ロシアによるウクライナ侵攻の裏側にあるもの
ゼレンスキー・ウクライナ大統領の誤算
-
2022年03月17日
FOMC 想定通り、0.25%ptの利上げを決定
ドットチャートは2022-24年にかけて、計10.5回分の利上げを予想