2025年08月19日
サマリー
◆2025年7月18日、第二次トランプ政権は、ステーブルコインの包括的な法的枠組みにあたる「GENIUS法」に署名した。
◆ステーブルコインの包括的な法的枠組みの整備については、既に日本や欧州連合が施行済みであり、米国は後れを取っているといえる。それでもなお、ステーブルコインの普及という観点からは、GENIUS法の制定こそがマイルストーンとなろう。というのも、ステーブルコインの時価総額のうち、99%以上が、米ドル連動型で占められているためである。
◆GENIUS法にあって、見逃せない特徴が、構造的な銀行グループ優遇である。発行体となるにあたって米国通貨監督庁(OCC)の管轄下に入る必要がある点や、銀行秘密法に定められたマネー・ローンダリング対策(AML)が求められる点を見るに、銀行グループにとっての新たな規制対応コストは非金融機関に比して著しく小さい。こうした銀行グループ優遇の背景には、大規模な減税を控え、増発が想定される米国国債の流動性懸念があるものと考える。銀行グループにとっては、自らステーブルコインを発行することで、最大で6.6兆ドルに及びうるとされる預金流出を防止することができるというメリットがある。
◆GENIUS法の制定により、ステーブルコインが支払決済手段として普及するか否かについては、日用消費財を扱う大手小売業者がステーブルコインでの決済を奨励するか否かにかかるだろう。小売業者にとっては、ステーブルコインでの決済に移行することで、クレジットカード決済により発生する手数料を支払わずに済むというメリットがある。
◆GENIUS法の制定を受けて、大手銀行グループや大手小売業者がステーブルコインを発行するか否かが、適用開始が見込まれる2026年まで、大きな注目点となるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
米国、予測市場ETFの市場投入条件を探る
「あらゆるものの金融商品化・ETF化」の流れ、日本にも?
2026年08月18日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

