政策保有株式の開示状況と今後の対応

TOPIX500採用銘柄における有価証券報告書での開示を集計

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サマリー

◆2022年11月7日、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案(以下、開示府令改正案)が公表された。これにより、有価証券報告書において保有する政策保有株式のうち貸借対照表計上額の大きい順の60銘柄などに関して、保有目的が発行者との取引・提携等である場合にはその概要を示すことが求められるようになる。

◆本稿では、TOPIX500採用銘柄の2022年12月時点で提出されている有価証券報告書を基に、政策保有株式に関する開示情報を集計した。これにより、依然として多くの政策保有株式を保有する企業が見られること、縮減は少しずつであるが進んでいること、政策保有株式の保有目的が取引・提携等であるとしている企業が大宗を占めることなどが明らかになった。

◆集計結果から、少なくない企業が今回の開示府令改正案の規定への対応を迫られ、取引・提携等の概要の説明のために情報を整理しておくことが必要になると想定される。政策保有株式に関する開示拡充の背景には、政策保有株式を保有する以上はその正当性を投資家が十分に理解できるように説明する必要があるという考え方がある。企業は縮減の方針をとりつつ、どうしても保有の必要があるものについては保有に係る説明責任を果たしていくことが求められる。

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