2023年01月31日
サマリー
◆2022年11月7日、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案(以下、開示府令改正案)が公表された。これにより、有価証券報告書において保有する政策保有株式のうち貸借対照表計上額の大きい順の60銘柄などに関して、保有目的が発行者との取引・提携等である場合にはその概要を示すことが求められるようになる。
◆本稿では、TOPIX500採用銘柄の2022年12月時点で提出されている有価証券報告書を基に、政策保有株式に関する開示情報を集計した。これにより、依然として多くの政策保有株式を保有する企業が見られること、縮減は少しずつであるが進んでいること、政策保有株式の保有目的が取引・提携等であるとしている企業が大宗を占めることなどが明らかになった。
◆集計結果から、少なくない企業が今回の開示府令改正案の規定への対応を迫られ、取引・提携等の概要の説明のために情報を整理しておくことが必要になると想定される。政策保有株式に関する開示拡充の背景には、政策保有株式を保有する以上はその正当性を投資家が十分に理解できるように説明する必要があるという考え方がある。企業は縮減の方針をとりつつ、どうしても保有の必要があるものについては保有に係る説明責任を果たしていくことが求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
日本版スチュワードシップ・コード改訂
5年ぶりの改訂の目的は協働エンゲージメント推進と実質株主把握
2025年06月27日
-
株主優待設計の際に考慮すべき法的論点
配当とみなされないようにした上で、株主平等原則に配慮した設計を
2025年06月17日
-
英国スチュワードシップ・コードの簡素化
機関投資家のコード対応における負担を軽減、開示事項の削減
2025年06月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日