サマリー
◆2026年4月28日・29日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを3.50-3.75%に据え置いた。市場は金利据え置きを事前に織り込んでおり、今回の決定にサプライズはない。他方で、ハマック・クリーブランド連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ローガン・ダラス連銀総裁は声明文における利下げを前提とした既存のフォワードガイダンスの表現を維持することに反対票を投じた。FOMC内ではインフレへの警戒の高まりから、利下げを前提とする表現を修正する声が強まっているといえる。
◆パウエル議長の任期満了が5月15日に迫ることから、こうしたフォワードガイダンスの修正等は、次期議長の下で検討されることになる。次期議長人事に関しては、4月29日に開かれた上院銀行・住宅・都市委員会が候補者であるケビン・ウォーシュ氏を賛成多数で承認した。上院本会議でも承認されれば、ウォーシュ氏は6月16日・17日に開催予定のFOMCから、議長としてFOMCのかじ取りを担うことが想定される。
◆ウォーシュ氏がFRB議長に就任した場合の注目点として、3つ挙げられる。1つはウォーシュ氏のインフレに対する認識だ。ウォーシュ氏がインフレ抑制への決意をより強く打ち出すのか、あるいは、基調的なインフレ率を強調し、利下げへの道を残すのかが焦点となる。続いて、ウォーシュ氏がインフレ抑制の要因として重視する、AI活用の広がりによる生産性上昇が2つ目の注目点となろう。生産性の上昇はインフレを抑制し得る一方で、AI関連投資の急拡大は、短期的には需要、そして、インフレ圧力を強め得る。
◆3つ目の注目点としては、ウォーシュ氏と市場とのコミュニケーションが挙げられる。議長の交代は金融政策運営をめぐる不確実性が高まるイベントであり、市場も神経質になる傾向がある。足元では、プライベート・クレジットなどの金融リスクもくすぶっており、議長の一挙手一投足への注目度は高い。ウォーシュ氏が市場との対話において、政策反応関数やリスクシナリオに対する認識をどこまで明確に示せるかが焦点となる。
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