米国、設備投資費用の即時償却を復活・拡張

製造業・情報産業の新規投資、及び対米直接投資の増加要因か

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2025年10月07日

  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2025年7月4日、第二次トランプ政権は、大規模な減税を定めた‘One Big Beautiful Bill Act’(OBBBA)に署名した。

◆OBBBAは、第一次トランプ政権時の減税法、‘Tax Cuts and Job Act’(TCJA)で導入された、設備投資費用の即時償却を復活・拡張させている。

◆TCJAの即時償却が米国の設備投資に与えたであろう影響を振り返ると、TCJAの施行前後(2017年第1四半期と2019年第4四半期との比較)で、米国の設備投資額は8.6%増加した。外国企業から米国への対外直接投資に目を移すと、2017年と2022年に、前年比で大幅な設備投資額の増加が見て取れる。

◆OBBBAによる即時償却の復活・拡張は、理論的に考えれば、米国における新規設備投資を奨励するだろう。

◆米国シンクタンクの調査によれば、10年間という長期でみると、製造業、情報産業という、資本集約的側面を色濃く有する業種が、最もOBBBAによる減税の恩恵を受けることが見込まれている。

◆外国企業から米国への対外直接投資についても、OBBBAによる即時償却の復活・拡張は、相互関税の回避という動機と併せて、新規設備投資の増加要因となりうる。

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