米国経済見通し 米国経済の自律性を損ね得る相互関税

貿易相手国・地域が譲歩しなければ、米国経済に悪影響を及ぼす

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2025年02月26日

  • 経済調査部 主任研究員 矢作 大祐
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼

サマリー

◆足元の米国経済は、景気全体としては底堅く推移しているものの、インフレ率の高止まりリスクが高まっている。こうした中、米国経済の先行きに関しては、「トランプ関税2.0」による景気・インフレへの悪影響に対する懸念が強まっている。

◆トランプ大統領が関税引き上げを矢継ぎ早に公表したことは想定外といえるものの、既に実施済みの中国に対する追加関税措置を除けば、実施までに猶予期間が設定されており、交渉の余地は残る。トランプ大統領も相手国・地域による米国産品への関税引き下げや米国への投資拡大などを受け入れる姿勢を示しており、追加関税措置を回避できる可能性はあるだろう。

◆しかし、トランプ大統領は関税の交渉カードとしての価値を担保するために、実際に関税率を引き上げることも想定される。とりわけ、貿易相手国・地域が何らかの譲歩を示さない場合には、トランプ大統領は追加関税措置を実施するだろう。

◆トランプ大統領が、米国にとって輸入への依存度の高い製品にまで関税を掛ける場合、米国経済への悪影響は大きくなる。関税はトランプ大統領にとって貿易相手国・地域に対して対応を強いるための武器にもなり得るが、米国経済にとっては貿易相手国・地域の対応が景気・インフレを左右するという諸刃の剣であることも意識する必要がある。

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