サマリー
◆足元の米国経済は、景気全体としては底堅く推移しているものの、インフレ率の高止まりリスクが高まっている。こうした中、米国経済の先行きに関しては、「トランプ関税2.0」による景気・インフレへの悪影響に対する懸念が強まっている。
◆トランプ大統領が関税引き上げを矢継ぎ早に公表したことは想定外といえるものの、既に実施済みの中国に対する追加関税措置を除けば、実施までに猶予期間が設定されており、交渉の余地は残る。トランプ大統領も相手国・地域による米国産品への関税引き下げや米国への投資拡大などを受け入れる姿勢を示しており、追加関税措置を回避できる可能性はあるだろう。
◆しかし、トランプ大統領は関税の交渉カードとしての価値を担保するために、実際に関税率を引き上げることも想定される。とりわけ、貿易相手国・地域が何らかの譲歩を示さない場合には、トランプ大統領は追加関税措置を実施するだろう。
◆トランプ大統領が、米国にとって輸入への依存度の高い製品にまで関税を掛ける場合、米国経済への悪影響は大きくなる。関税はトランプ大統領にとって貿易相手国・地域に対して対応を強いるための武器にもなり得るが、米国経済にとっては貿易相手国・地域の対応が景気・インフレを左右するという諸刃の剣であることも意識する必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
-
米国の州年金基金とビットコイン現物ETF
「戦略的ビットコイン準備資産」の実現により保有ニーズが高まるか
2025年04月25日
-
「トランプ2.0」における米国金融規制の展望
~銀行システム、暗号資産ビジネスと結合か~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日