サマリー
◆2024年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月差+25.6万人と2カ月連続で加速し、市場予想(Bloomberg調査:同+16.5万人)を大幅に上回った。また、失業率についても、前月から0.1%pt低下の4.1%となり、市場予想(Bloomberg調査:4.2%)を下回る(良い)結果となった。さらに、レイオフを含む非自発的失業や非自発的パートタイム就業者の減少も、雇用環境が安定していることを示唆している。
◆もっとも、雇用者数の3カ月移動平均は7カ月連続で前月差+10万人台に留まっており、製造業など継続的に冴えない業種もある。雇用環境の基調は底堅く推移していると評価できるものの、振れが大きい点には注意を要する。
◆金融政策運営について、12月のFOMCでは、0.25%ptの利下げを実施した。他方で、先行きに関しては、同FOMCで公表されたドットチャートの中央値で2025年内に合計0.50%ptの利下げが予想された。2024年の利下げ幅が合計で1.00%ptであったのに対し、2025年の利下げペースは緩やかとなるとの見立てが示されたことになる。12月のFOMC議事録の中で、景気や雇用環境の下振れリスクが低下し、インフレを中心に先行きの不確実性が高まっていることから、多くの参加者が慎重に利下げを実施する必要があるとの見解を持っていることが示された。12月の雇用統計は、このようなFOMC参加者の見解を裏付ける結果だったといえよう。先行きの利下げペースはインフレ指標や新政権の政策に左右されるものの、雇用環境の底堅さが改めて確認されたことで、当面は緩やかなペースが想定されやすいといえる。
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