2025年の米国経済見通し

ソフトランディング継続を想定も、「トランプ氏次第」か

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2024年12月20日

  • 経済調査部 主任研究員 矢作 大祐
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼

サマリー

◆2024年の米国経済を振り返ると、景気は底堅く推移し、懸案のインフレも緩やかに減速した。9月のFOMCでは利下げフェーズへと移行するなど、ソフトランディングに向けて前進してきたといえよう。

◆2025年の米国経済に関しても、ソフトランディングの継続という基本的な構図は変わらない。実質GDP成長率は減速するが、2025年通年で2%強と底堅く推移すると見込む。インフレに関しては、CPI上昇率の減速ペースが一層緩やかとなるものの、すでに2%台で推移していることを踏まえれば、減速余地が限られてくるのは当然だろう。

◆もっとも、米国経済の先行きは、1月20日に発足するトランプ新政権の経済政策次第で大きく変化し得る。トランプ氏は追加関税措置、移民排除策等を掲げており、その主張通りに実施されれば、景気への悪影響は大きく、インフレも大幅に上昇し、経済はハードランディングへと向かう恐れがある。

◆ただし、米国経済のハードランディングは、現時点ではリスクシナリオといえる。トランプ氏の政策に関しては、共和党議員からも景気や財政への悪影響を懸念する声が上がっている。トランプ新政権は政策内容を調整することが現実的であり、景気や財政への影響は軽減されると考えられる。また、経済政策の実施時期も漸進的なものとなり、その効果の発現は緩やかとなることが想定される。

◆他方で、トランプ氏の不規則発言に翻弄され、市場がリスクオフ傾向を強めたり、企業や家計の経済活動が消極化したりする恐れは残るだろう。また、トランプ氏が景気への悪影響を無視して、追加関税措置や移民排除策に邁進する可能性も否定できない。こうした不確実性の高さが、2025年の米国経済における最大のリスク要因といえよう。

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