サマリー
◆2024年7-9月期(以下、7-9月期)の実質GDP成長率は前期比年率+2.8%と、市場予想(Bloomberg調査:同+3.0%)を下回り、2024年4-6月期から小幅に減速した。もっとも、実質GDP成長率は+2%前後とされる潜在成長率を上回っており、堅調な結果といえる。内訳を見ると、屋台骨である個人消費がけん引役となった。住宅投資は2四半期連続でマイナスとなり、設備投資は2四半期連続で減速したものの、米国経済の自律的な成長を反映する民間最終需要は7四半期連続で同+2%を上回り、前期から加速した。米国経済は内需中心に堅調さを維持したといえる。
◆10-12月期に関しては、雇用環境が緩やかな悪化に留まる中で、個人消費は底堅く推移することが予想される。他方で、FRBによる利下げの効果が発現するまでには通常タイムラグが生じることから、目先の景気が大幅に押し上げられることは期待しづらい。また、9月末・10月初旬に南東部に上陸し、甚大な被害をもたらした二つのハリケーンが下押し要因となる可能性がある。この他、大統領選挙を巡る不透明感は引き続き設備投資の抑制要因になり得る。結果、個人消費が下支えする中でも、米国経済全体は緩やかに減速し、+2%前後とされる潜在成長率程度に着地することがメインシナリオとなる。
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