サマリー
◆2023年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.1%と、3四半期連続でプラス成長となった。しかし、2022年10-12月期からは減速し、市場予想(Bloomberg調査:同+2.0%)も大きく下回った。内訳を見ると、民間在庫による下押しが、ヘッドラインの減速の主因である。また、設備投資は減速し、住宅投資は減少した。他方で、米国経済の屋台骨である個人消費の加速によって、米国経済の自律的な成長を反映する民間最終需要(個人消費、設備投資、住宅投資の和)がペースアップしたことを踏まえれば、米国経済は依然として底堅い。
◆2023年4-6月期に関しては、厳しい資金調達環境が想定される中で、設備投資や住宅投資は引き続き抑制される可能性が高い。個人消費も雇用環境の緩やかな悪化に歩調を合わせて減速していくと見込まれる。民間最終需要以外の要因による押し上げも期待しにくく、4-6月期の実質GDP成長率は一層の減速が予想される。景気減速は、インフレが減速していく上で望ましい。しかし、銀行不安に伴う景気の下振れリスクは高い。銀行不安が更にエスカレートする前に、インフレが順調に減速し、FRBや政府による政策対応の余地を拡大できるかが、大幅な景気悪化を回避する上で重要となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日